先日、2年前に本学を卒業し、現在、新聞社で働いている卒業生が、私のところに取材に来てくれました。
彼女は、在学中、学業が優秀であっただけではなく、法学部「女子会」の主要メンバーとしても活躍し、仲間からも頼りにされる存在でした。
これまで幾度となく取材を受けてきましたが、卒業生からの取材ということで、とても楽しみであった一方、きまりが悪いような思いがしてなりませんでした。
今回の取材は、私の研究テーマである「児童虐待」が内容でした。このところ、埼玉県内では悲惨な虐待事件が続いているところから、地元の新聞社としてこの1年を振り返り、虐待問題への対応のあり方を考えよう、という企画です。私からは、児童虐待の状況、虐待発生の背景や施策の現状、発生した事案への対応上の問題点などをお話ししました。
取材を受けるというよりは、卒業生と懐かしいお話しをしているという感じで、アッという間に時間が過ぎてしまいました。
彼女は、十分に事前の準備もしており、質問の内容も的確でした。なによりも素晴らしいのは、話しの引き出し方がとても上手で、こちらも気持ちよく取材に応じることができました。2年間とはいえ、彼女がマスコミの世界で、しっかりと経験と力量を身に付け、成長していることを実感できました。彼女が自分の仕事を語るときのキラキラした、プロの目がとても印象的でした。彼女が書いた記事が新聞に掲載されるのが今から楽しみです。
教員としては、卒業生が活躍する姿を見ることほど嬉しいことはありません。たしかに、仕事をする上での苦労もあったでしょうが、それを乗り越え、一所懸命にメモを取る彼女の姿勢には、頼もしさすら感じました。きっとこれまでの研鑽と経験、先輩や上司の支えが、今の彼女を作ったのでしょう。
来年の3月にはたくさんの卒業生が巣立って行かれます。それぞれ自分の職場や仕事に対するさまざまな思いを持たれるでしょうが、まずは自分が学ぶ立場、仕事を覚える立場にあることをよくわきまえ、それを受け入れて仕事に向かってください。職場での不合理な状況を無条件に耐え忍ぶ必要はありませんが、まずは自分のしなければならないことをよく理解し、周囲の人と協調しながら仕事に励むことが大事です。
卒業後、皆さんと出会ったとき、逞しく元気いっぱいの姿を見せてくださることを今から楽しみにしています。
今年最後の「つねづね日記」になりましたが、来年も引き続きご覧ください。
皆さん、どうぞよい年を!